中学受験国語 物語文のコツ 国語の主題を文章からしっかり読み取ろう!

国語
写真はイメージ ©すしぱく

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頑張り男子
頑張り男子

物語文の点数が安定しなくて…。なんか”はまれば”点数が高いこともあるんですが、なにかコツみたいなものがあればぜひ教えてください。

すろーす先生
すろーす先生

そうだね。君の”はまる”という表現は、自分に共感できる内容ということだよね。でも、それだけじゃ点数は安定しないよね。今回は、物語文の読みテク・解きテクを教えていくね。

頑張り男子君の”はまる”というのは、その子にとって共感できる内容で読みやすいということです。ですが、必ずしも物語文に出てくる主人公の気持ちと頑張り男子君の感性が合うわけではありません。

読みやすくて、記述問題も時間配分通りに解けた場合でも、「あれっ?こんなに間違っていたの?」という場合もあるでしょう。

感性でなんとなく解いているからです。国語の物語文を解く上でのポイントはこれ!

読みテク:物語文は、登場人物の気持ちを追いかけて、主題をつかむ

主題を読み解くことは物語文のコツですよ。ここは本当に大事!

ですが、「主題ってなに?」みたいな反応が6年生でもあるあるです。今回は国語の主題について詳しく説明したいと思います。

主題を考えながら読むことで、読書の楽しみも広がります。映画や小説のみならず、漫画、アニメというサブカルチャーにだって主題があります。

分析的にいろいろな作品を鑑賞することで思考力や創造性も豊かになり、本物の国語力が身に付きます。

【定番の設問】中学受験国語 物語文の主題とは

主題を明鏡国語辞典で引くと、「主題とは、作品・議論・研究などの中心になる題材や思想。テーマ」という辞書的な意味が掲載されています。

ですが、国語の文章読解で言うところの、主題は少し意味が違います。端的に言えば、

読みテク:主題=物語を通じて作者が最も言いたかったこと、読者に伝えたいメッセージのこと

最後の設問:この文章の主題は何ですか?

文章読解の設問においても、最後の問で「この文章の主題は何ですか?」という設問を見たことがある受験生は多いでしょう。

大抵は記号選択問題で、「まあ本文と内容が一致している選択肢が正解なんだろうな」という感覚で解いているみたいです。

しかし、問題の中には、「このアとエは本文の内容と一致している。あれ~?」となって適当に回答する生徒さんもいます。

もう一度言いますが、国語の主題とは作者が読み手に伝えたいメッセージなのです。

物語文の読解においては、まず主題をつかむことが第一です。この点さえ取り違えなければ、解答の方向性を見失うことはありません。

物語文における解きテク一覧

もちろん、他の細かなテクニックも大切です。

解きテク:登場人物の気持ちに線引きや〇付けをする
解きテク:主人公の気持ちがプラスなのかマイナスなのかを考える
解きテク:気持ちの変化と、その気持ちを変化させた出来事に注目する
解きテク:情景描写に気を付ける。たとえば、天候などがその登場人物の心理状態を表している。空がからっと晴れていたのであれば、その〇〇君の気持ちも晴れやかということ

ですが、まずは主題をおさえること国語の物語文のコツが肝心。

『アリとキリギリス』のお話から読み解く主題

具体例で語りますと、イソップ寓話の『アリとキリギリス』のお話から、主題を考えていきましょう。

記述問題では、字数制限がある場合は、10~30字程度の短い記述。40~60字程度の中程度の記述。80~100字程度の長い記述。字数制限がない場合は、具体例も含め、対比や並列などのテクニックを使いながら書き残しがないようにまとめる必要があります。

今回はざっくりと、短いパターンと中~長程度のパターンをそれぞれ書いてみたいと思います。

短いパターン:こつこつと日々努力をすることの大切さ。(19字)

長いパターン:冬が来るまでにコツコツと働き、食料を確保したアリと、遊んでばかりいたキリギリスを対比し、将来に備え懸命に努力したものが報われるという勤勉の重要性(価値)を説いている。(78字)

主題の書き方:短いパターンと長いパターン

記述問題の書き方として、

短いパターンでは、「○○さ」などと本質を言いえた言葉で締めるのが上手い記述の仕方です。長いパターンでは、「~している/する」の形でも構いません

長い記述文を書く記述テクニック

長い記述文を書けないという生徒さんが多いです。記述する上でのポイントとしては、

解きテク:長い記述では、対比や並列というテクを使いわかりやすくまとめる/具体例を加えてもよい

というものがあります。今回の長いパターンでは、あらすじも盛り込みつつ(だれが何をしたかということ)、まとめてみました。

大ヒットアニメ『鬼滅の刃』から読み解く主題

もう一つ、近年大ヒットした漫画・アニメである『鬼滅の刃』から主題を読み取っていきます。

短いパターン:主人公が鬼と激しい戦いをしながらも、自己を見失わずに貫いた家族愛の大切さ。(37字)

長いパターン:人の心を失くし利己的にふるまう鬼と、人間愛にあふれた主人公が死闘を繰り広げるなかで、鬼が最後は人としての心を取り戻し構成するという話を通じて説く、人間愛や家族愛をもち続けることのすばらしさ(尊さ/とうとさ)。(95字)

なぜ『鬼滅の刃』は大ヒット!?

『鬼滅の刃』がヒットした理由は、人間愛や家族愛の大切さを伝えるという作者のメッセージがよく伝わってきたこと。

長期連載で、漫画作品はある程度主題がぶれてしまい、当初とは方向性が徐々に変わってしまうことがあります。ですが、『鬼滅の刃』に関しては、最後までぶれずに描き切ったように思います。

もちろん、『鬼滅の刃』の主題の捉え方はひとそれぞれです。もっと他の主題、メッセージが説かれているよというご主張もあると思います。

ただし文章読解に関しては、ある程度のまとまった本文が用意され、そこに込められた主題を読み解くので、模範解答は存在しえます。

まとめ

『アリとキリギリス』のお話や、大ヒット作品『鬼滅の刃』を元にして、実際に長短さ2パターンで主題の記述をしてみました。

面白い作品には、必ず一貫して作者が読者に伝えたい主題が存在します。主題を読み解きながら、改めて作品に触れてみるのもよいのではないでしょうか。

アニメ作品など、子どもたちが興味を持てるような題材を用いて、少しでも国語学習の楽しさを感じてくれれば心からうれしく思います。

「国語が以前より好きになった」「面白そうな本を図書館で借りてきた」など、こういう日常的な変化が見られるのも講師/家庭教師としてはやりがいを感じるところです。

中学受験の物語文では、よく”子どもの成長”が主題になることが多いです。その子がどういう出来事を経て、どのように感情が変化したのか。成長したのか。読み取ってみましょう。

その国語の主題、物語文の主題を読み取ることこそ”文章読解”です。主題を読み解き、長短で記述してみる。記述力向上にもなります。最後までお読みいただきありがとうございました。

補足:参考書のご紹介(語彙力向上)

国語の主題を確実につかむことの重要性。あわせて物語文の解きテク、記述テクなども今回ご紹介しました。

ですが、心情を表す言葉「あさましい」「けげん」など。語彙力もある程度なくてはいけません。漢字や語彙力の土台があってこその、テクニックです。

私がお勧めする参考書の一つは、「中学受験必須難語2000ポケット版」(アーバン出版)です。何度も改定されており、小学生の手に収まるポケットサイズなのでスキマ時間にも読めます。

語彙力は何度も繰り返し確認することが大切。例文もあり、漢字にルビも振られていて、なによりシンプル!一般の語彙系の参考書は、大判で、びっしり書き込まれていて普通の小学生には使いづらい。

私は「中学受験難語2000ポケット版」が一番使いやすいと思います。本書の内容を一部引用すると、1051番は「矢面」。

例文:代表者が非難の矢面に立たされる。
難語:矢面(やおもて) 
意味:質問や非難などを直接に受ける立場

これだけです。これが2000語収録されているという非常にシンプル。使いやすい。語彙は上位難関校から抽出されたとありますが、中堅~難関校までどの学力の子にもお勧めの一冊です。

他にも、本当に学力が高い子。算数や理科は上位校~難関校レベル。そういうお子さんにだけ勧められるのが、「中学受験国語の必須語彙2800」(エール出版社)です。語彙力の網羅性は一番。ですが、小さい文字がびっしり。余計なイラストや解説などがなく、シンプルさは〇ですが。

大人でも「うわ、これは読みにくいな」というもの。難関中向けの子でないと使えないですね。著者の井上秀和先生は超一流。一応、ご紹介しておきます。辞書的に使うために置いておくのはよいかも。

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